愛聴盤6

太陽風オーケストラ

2008年05月20日 10:36

マイルスデイビス「ネフェルティティ」です。

マイルスデイビスはジャズトランペッターなのですが、「トランペッター」の一言で語れないくらいの多彩な側面があります。ジャズミュージシャンには珍しい(?)トータルサウンドを重視するタイプの音楽家だと思います。パットメセニーも同じタイプかも。

例えばある音列だけを決めてをその中で自在にメロディを作り出すやり方や、純粋な歌心的(鼻歌的?)美意識に従って、キーも関係なくアドリブを吹く、という感覚。結果そのサウンドはミステリアスで渾沌とした雰囲気が漂いますが、あのトランペットの音が響き渡ったとたんに美しさと説得力が出てきます。このアルバムではとくに「いかに自由なアドリブのメロディラインを創りだせるか」ということを重視していると思います。より自由なメロディを創りだせるようにするために、ピアノのハービーハンコックはトランペットやサックスのアドリブソロ中はいっさい伴奏をしていない曲もあるほどです。伴奏しちゃうとそのハーモニーに縛られるからなのかもしれません。天才的な感性の持ち主であるメンバーがそろっているから出来たことなんでしょうけど、恐ろしい発想だと思います!

ぼくも「歌いにくいから伴奏しないで頂戴」と言われたこともありますが、多分これとは全然違う意味合いです!

アルバムの印象は言葉で言うのは難しいですが、淡々としていてクールで冷たい感じもします。が、聴いていくうちに背中のどこかが熱くなってくるような不思議に心地よいサウンドです。

ジャズというと、4ビートというイメージがありますがマイルスは1970年代以降は4ビートさえも止めてしまい、ロック的な16ビートを取り入れています。噂によるとジミヘンドリックスを自分のグループに入れたがっていた、とも言われています。その後もシンディローパーの曲をカヴァーしたり枠に捕われない活動をしていました。1992年に65歳で亡くなるのですが、晩年はHipHopの要素も取り入れています。
65歳のHipHop!

byマツモト

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